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入れ替わり立ち替わり騒然とする狭いワンルーム、俺はぼうっとベッドに浅く座していた。捜査員が、足の踏み場の無い赤いラグを器用に避けて、斜め前に片膝をつく。
「池尻亜純さんに変わった様子とかはありませんでしたか」
「…彼氏に振られたと言ってました」
「それで落ち込んでいたと?」
「たぶん」
「そう思う根拠は?」
「そういう時だけ俺を呼ぶんで」
「…あなたは、池尻さんと交際していた訳ではないんですか?」
「はい」
「ご不快に思われたらすみません。関係者には全員訊く事になると思うので…肉体関係の有無は?」
「…それはありました」
「…わかりました。もう少しここで待っていてください」
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