白夜

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白夜

くるくるのクセ毛に キンモクセイの花をふりかけて 「可愛い」と笑えば あなたは鏡をふり向いた 泣きやんで わたしの姫様 泣き虫な姫様だから 季節の巡りに慣れた頃には 涙の止めかた わかってた 「泣かないで」って10回唱えると 泣いちゃうんだよ って おもしろそうに皆にバラしたよね だけど 誰も試さなかった いま思えば そう 皆気づいてた その呪文は あなたが唱えてこそだと 鈍なふたりに 静まってた教室 さようなら わたしの姫様 思い出はわたしが抱えとくから 迷わずに日々を送って なにひとつ なくさないわ さようなら わたしの姫様 あなたが選んだ権利と責任 完了を待つ 思い出はほらここに 美術館のように 忘れちゃった 思い出せない 言うならば ドキリとする嘘を ジーニーの気つけ薬を あんみつをすくう その匙の上に
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