蜘蛛女──彼女は透明な糸を吐く──

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 仲の良い友だち同士だと思っていた。だけど、それは私の方だけだったのかもしれない。  短大を卒業して入社した会社の同期、坂口優子。少し低めの身長ながらバランスのとれたスタイル、少し垂れ目がちな目は甘えたがりの彼女の性格にピッタリと似合ってた。  会社帰り、優子とよく寄り道をした。ある日、優子が見付けてきた紅茶専門のお店、外観も内装も可愛らしくて、ケーキも軽食も美味しい“Reaf”。お店を見つけてきたのは優子で私が誘われた。いや、誘われたと思っていた、の方が正しいのかも知れない。 「ねぇ、亜希、駅の向こうにカワイイ紅茶専門のお店あるの知ってる?」 「ううん、知らない。」  私が答えると、優子は目をキラキラさせながらお店の事を詳しく説明しだした。 「“Reaf”って言ってね、外観からして可愛いの。ティールームって感じ。紅茶もケーキも種類がいっぱいあったし、美味しそうだったよ?」 「良いね、行ってみようか?」  そんな風に、そのお店『Reaf』に初めて行く事になり、それから私達は度々そのお店に立ち寄っては長話をした。
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