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真冬は、ゆりのクラスの『副担任』も兼務した。
アイツ、どんだけ、お金積んだんやろ?
ゆりの目が据わる。
ホームルームや、ロングホームルーム。
話し合いなんかで、グループで話していると、突き刺さる視線。
ゆりが視線を感じてパッと見ると、必ず真冬と目が合った。
「…」
ーーあー、機嫌悪そうやわ…
クラスの男子とも笑って話しているのが気に入らんのやろう。
でも、仕方ないやろ。これも勉強なんやから。
「ーーで、今度の保育体験に、何持ってくか決めよ」
「誰かコマ回ししきる?」
「紐のヤツはやったことないな」
「凧あげとかなら…カイトが簡単やけど」
「お正月みたいやね」
「そいなら、羽根つきもか?」
「カンカンの竹馬とかは?簡単に手作りできるし」
「ペットボトルのマラカスとかも喜びそうやない?」
「ゆりちゃんは、どう思う?」
拓斗がゆりを向く。
真冬に小さく舌を出していたゆりはパッと皆の方を見た。
「ほら、『彼氏』とイチャイチャしないで」
美紅に言われ、ゆりはカッと赤くなった。
拓斗がじっとゆりを見ていた。ゆりは気づかない。
「違うし…」
「ゆりちゃん。保育体験。もう再来週だからさ」
「うん…そうやね。
…祥子のとこは、小さい弟がいたよね?」
「あーうん。2歳の悪ガキ…可愛いよ」
「うちは一人っ子やからなあ…どんなんが喜ぶ?」
「そーやね。
相撲とかもいいと思うし、あ、わざと負けるんよ?
何しても喜ぶよ?
歌でもダンスでも、楽器でも、絵本でも、お絵かきでもさ」
「おー相撲とか、楽しそうやん?
泥んこになって遊ぶこと、小さい子の特権やしね」
「じゃあ俺らの班は、相撲にするか?」
「いいと思う」
「うん」
班の5人で笑い合った。
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