プロローグ

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プロローグ

黒色のカーテンを開けると、待っていた。と言わんばかりに口を開く、黒色のスーツを着た男性。 「人は皆、誰しも後悔に囚われ生きている。 〝やり直したいこと〟なんてたくさんあるだろう。では、もしも……もしも、ですよ?その〝やり直したいこと〟を一度だけ、やり直せるとしたら?それが可能だとしたら貴方は何を〝やり直したい〟ですか?一度きりのやり直し。是非、試してみませんか?」 胡散臭い言葉に張り付いたような気味の悪い笑顔。 「あぁ、、お代は要りません。ただし、やり直せるのは一度だけ。それを破られた場合、厳しい罰則が課せられます。のでお気を付けて」 厳しい罰則…どんな罰則なのだろうか。…って、そうじゃなくて…俺はここにバイトできたんだって。そう口を開こうとしたら男性が先に口を開いた。 「え?あぁ、違いましたか。なるほど、新人の方ですね?でしたら貴方様は、そうですね。今宵、来られるお客さま方の〝やり直したいこと〟を最初から最後まで見届けて来てください。」 「〝貴方様には見届ける権利がありますから。〟ご安心ください。介入さえしなければ貴方の存在が消えることはありません。それでは、いってらっしゃいませ。」 急すぎる仕事。マニュアルなんか持たされることなく、俺はその男性がいた背後にある開けられた扉の奥に押し込まれた。
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