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天才魔術師トーリンの受難
またこれだ。今日もついてない。内心毒づきながらトーリンは周囲の様子を素早く確認する。鬱蒼な森を抜けたと思えば周囲には何十体もの土人形どもが待ち構えている。
土人形の出来はピンキリで、きっちりと成型された人型の物もあれば、形も保てず土人形というよりも泥人形と言った方がいいようなものまで、まるで統一感がない。
従来、土人形を使うような魔術師は几帳面なものが多く、大体造形に凝るのだが、今いるこれらの中には、明らかに作るのに飽きて途中で放り投げたのを魔力で無理やり動かしているものもあり、製作者の性格がよくわかる。
「貴様の受難を渡せ」
小柄な黒いフードから赤い髪がのぞく。
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