天才魔術師トーリンの受難

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 トーリンにもう体の大部分を巻き付かせた魔術師は、人肌に出来た火ぶくれのようにぶくぶくと自らの表面を泡立てる。 「スゥオード」 「え?何?」  溺れないように必死に水面から顔を出すようにあがきながらトーリンが問いかける。 「スゥオード・・・私の名だ。深紅の受難を持つトーリンよ」 「あ、そうよろしくねスゥォード。じゃあさ・・・これ・・・解いてくれない?」 「受難を渡せ」 「あぁ・・・どうしようかな・・・」  あがきながらも余裕のある態度を崩さない。スゥォードもトーリンの態度に気づく。 「この状況で打開する方法があると思っているのか?」 「そうだよ。スゥォード」  
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