天才魔術師トーリンの受難

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 土人形の群れが作る影から現れたそれは、勝ち誇ったようにトーリンに自分の要求を伝える。   「随分、土人形を作るのがお得意みたいだな」  皮肉たっぷりに返しながら、ゆっくりと値踏みするように黒いフードを見る。フードの奥の淡い海色の瞳と目が合う。布に包まれた小柄な体からわずかに見える白い肌は光を弾き見事な曲線を描いている。  手足は細く無駄がない。全体的に適度に引き締まった良い体格だ。   「貴様の受難を渡せ」  フードに包まれた女は同じ言葉を繰り返す。魔術師の中には魔術で無関係の者を操って自分のふりをさせる者がいる。そういう連中は魔術で操られているためどこか様子が不自然なことが多い。例えば・・・皮肉にうまく返せなかったりだ。 「わかったわかった。渡すよ」  トーリンがゆっくりと懐に手を入れようとしてポーションを落としてしまう・・・それが合図だった。        
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