天才魔術師トーリンの受難

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 理想の形はあれで全員倒すこと。少なくても土人形は倒しておきたかった。状況は三対一であり、さっきよりはましだが、危険なことにかわりない。    また足場魔術で一旦距離をとるか。しかし、それをするには連中との距離が近いし恐らく相手もこちらが距離をとりたがっていると気づいているはずだ。  だからだろう。黒衣の魔術師を筆頭に三体がじりじりと間合いをつめてきている。こちらが呪文を唱える間に三体の猛攻を凌がなければならない。    魔術師の後ろには、びちゃびちゃと魔術で作られた泥のような何かを跳ねさせる人形と、「ドラゴンの足」で右腕を吹き飛ばされた小型の土人形が控えている。腹をくくるしかない。    トーリンは背中をむけ魔術を唱えるべく口を開こうとする。その瞬間を待っていたかのように小型の土人形が躍り出る。だが、その瞬間を待っていたのは連中だけではない。  くるりと一回転すると一気に土人形との間合いを詰める。予想もしない動きだったのだろう土人形は一瞬遅れて左の拳を打ち下ろす。  本来、土人形はそれほど複雑な動きはできない。右腕が壊れているとなれば 左腕を振り下ろすしかない。土人形の右側に回り込み左腕の攻撃をかわすと魔術師まで一気に距離をつめる。        
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