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貴族の生活
起床時間はなんと午前3時!
仕事開始は日の出の時刻となります。
ちなみに現在の京都の夏至と冬至の時間です。
夏至の日の出、午前4時45分頃
冬至の日の出、午前7時頃。
①目覚めてすぐに属星(ぞくしょう)の名前を七度唱えます。
生まれ年の干支から導いた、北斗七星の七つの星のうち一つを守り星としました。この守り星を属星といいます。
陰陽道で決められていたもので、生涯変わらない本命星と、年ごとに変わる当年星がありました。寝床で唱えるのは本命星だったようです。
子年、 貪狼星(どんろうしょう)
丑、亥年 巨門星(こもんしょう)
寅、戌年 禄存星(ろくぞんしょう)
卯、酉年 文曲星(もんこく・ぶんきょくしょう)
辰、申年 廉貞星(れんていしょう)
巳、未年 武曲星(むこく・むきょくしょう)
午年 破軍星(はぐんしょう)
(貪狼星から文曲星が北斗七星の器部分、廉貞星から破軍星が柄の部分です)
②鏡をじっくり見て顔に吉凶が浮いてないか確認します。
③歯を磨いて、口をすすぎ、西に向かって手を洗い、身を清めた後、仏様を拝み、神様に祈ります。
④昨日の仕事の反省点や気づきを日記につけます。
役所にはマニュアルがありません。この日記の積み重ねがその家代々に伝わる仕事マニュアルとなります。自分の備忘録だけでなく、子孫の為にも記されていたようです。
⑤軽食の粥を食べます。
ちゃんとした食事は一日二回。朝食は今で言うブランチで、夕食は午後四時となります。
⑥身だしなみを整えますが、陰陽道の決まりに添います。
頭髪をくしけずるのは三日に一度
手の爪を切るのは丑の日
足の爪を切るのは寅の日
沐浴は五日に一度などなど。
風呂は基本蒸し風呂で、高貴な方は湯に浸かる事もありましたが、決められた日以外に体を洗うと、そこから病気が入り込んでくると信じられていました。
⑦身だしなみを整え、いざ内裏に出仕です。
出仕の時は、束帯で履く袴ではなく、裾に通した紐で足首を結んだ指貫を履いたスタイル、衣冠が仕事着となります。
マイカーは牛車です。「○○様の車が通りま~す」と先払いの声をかけながら進みます。
⑧到着すると、自分の名前の書いてある札「日給の簡」に日にちを書いた札を貼ります。現代のタイムカードです。
お休みしたい時は休暇願を出しました。
太政大臣を頂点に、左大臣、右大臣、大納言、中納言、参議のトップエリート公卿を中心とし、行事の準備、開催、人事、諸司や諸国からの上申に応じたりとなかなかにハードだったようです。
大臣付きの事務官や書記官などは年300日前後の出勤日数だったようです。
そこそこのブラック感・・・・・・(;'∀')
⑨午前11時終業です。
退出時間は早いです!宿直もあるんですが、日勤の人は午前11時には帰ります。
夏は午後から一段と暑さが厳しくなりますので、涼しいうちに仕事を終えるのは道理にかなっている気もします。
⑩朝食
お家でブランチ。
⑫夕食
午後四時くらいに取り、その後、宴会に行ったり、恋を謳歌する自由時間となります。
以上、藤原師輔(908年か960年)が子孫にあて、日常生活の心得を書いた「九条殿遺誡」を元に一日を追ってみました。
最後に師輔の子孫に向けた心得をご紹介して終わりたいと思います。
年長者が年若い人に伝えたい事って、千年前も今も変わってないんだなと、千年の時がぐんと近づいた気がします(´∀`*)ウフフ
平安時代、お付き合いいただきありがとうございました。
食事の時間を守りなさい。そして腹八分目にしなさい。
一日一日を慎重な上にも慎重に暮らしなさいね。
たやすく人のものを借りてはいけません。借りたらすぐ返しなさい。
人の行為をあげつらってはいけません。
出しゃばって、喋りすぎない事。口は禍の元ですよ。
でも、自ら思う事は臆せずきちんと伝えなさい。
自然災害の時はまず身内の安否確認。その後、速やかに朝廷に参り職務に就きなさい。そして災害を消す努力をしなさい。
部下が仕事上間違いを起こす事があった時、その時は叱っても後でちゃんと許しなさい。とことん𠮟りつけるような事をしてはいけません。
喜怒哀楽の心をあらわにしないようにしなさい。
温和で慈しみ深くいなさいね。
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