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仲人と見合い1
近所の世話好きの人が仲人となる事もありましたが、高額な礼金を目当てに、それを生業とする人も出てきました。
礼金は持参金の十分の一が相場とされ、50両なら5両(37万5千円)、100両なら10両(75万円)にもなる事があったようです。
草鞋千足と言われるほど市中を歩き回り、年頃の息子や娘の情報収集に励みました。また依頼があれば、相手の家の、由緒、財産、経営状態、家族の性格や親族、交友関係、宗教などを調べ報告し、調整を図っていました。
このお相手で進めて欲しいとGOサインが出れば、次は、持参金の交渉を行います。それで折り合えば見合いの段取りをし、結納、婚礼と進んでいきます。
仲人は婚礼の際、その介添え役も行いますので、式進行を間違う事無く進める教養と知識も必要でした。
良心的な仲人がいる一方、礼金に目が眩み、下の川柳の範疇ならまだ許せるかもしれませんが、ある事無い事、上手い話しばかりを並べて、嫁いでみれば、嫁を迎え入れてみれば、話が全く違ったという悪徳仲人もいたようです。
・仲人は小姑一人殺すなり
(口煩い、気苦労の元であるとされていた小姑は、最初からいないものとして話を進めてしまうこと)
・嫁の年捨て鐘(3つ)ほどは嘘をつき
(時間を告げる鐘は鳴らす前に、今から鳴らしますよの合図として3つ程先に鐘を打っていました)
・瓜ざねを見せてかぼちゃを取りつかえる
(別の器量の良い人をさも結婚相手であるかのように紹介して婚礼当日来たのは全く違う顔貌のお嫁さんということもあったようです)
持参金や持参した道具は、一旦は婚家のものになりますが、持参した側の私有財産とされていましたので、もし別れる事があれば、全て持参した方に返す約束となっていました。
ですので、後からもめる事が無いように、持参した金の確認はもちろんのこと、道具も庭先に筵を引き、その上に並べ、両家で一つずつ確認しながら帳面をつけた後、婚家に運び込まれました。
夫婦になって後、店が傾く事になってしまった場合、仲が良い夫婦ならば、持参金を使う事で店を立て直す事もありましたが、夫婦仲が険悪な場合、店がつぶれるなんて知った事じゃないとばかりに、道具入れの際の帳面を元に、持参金をさっさと引きはがし、返却を受け実家に戻ってしまう事もあったようです。
1両は7万5千円で換算しています。
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