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大店の正月料理
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
おせち料理、食べられましたか?因みに我が家の二日の朝はピザと雑煮、昼はたこ焼きという普通の休日にかろうじて雑煮が潜り込む形でした。
数の子といくらがあれば、おせちはいらないらしいです。取り敢えず「子孫繁栄系」だけ食卓に出しておきました。
さてさて、今も続く江戸の大店、元禄12年創業の鰹節商「にんべん」。そこに残る「家内年中行事」から文化12年(1815年)に作られた正月料理です。
元朝
雑煮と屠蘇
雑煮の具は、花かつお、餅、芋、小松菜です。
焼いた餅、茹でるか蒸し、手で皮を剥いた小芋、さっと茹で水気を絞った小松菜を椀に入れ、鰹節のみでとった出汁を注ぎ、花かつおを上に置きます。
紅白の水引がかかった箸包半紙には、その膳につく人の名前が書かれ、水引には田作りが二尾はさんであります。
昼膳
膾と汁と平(蓋つきのやや浅めの塗り物椀に盛られた煮物)
膾は大根と人参の甘酢に漬けたものに頭と腹を取って酢につけたごまめを加えたものです。
汁はみそ汁、具は皮つきで薄く切って作った干し大根を水で戻したものです。
平は焼き豆腐、それぞれに含めた人参、牛蒡、里芋、それと塩ゆで蛸です。
夕膳
お茶漬けと福茶
鮭、鰤、塩鰹の類をお茶漬けで食べます。
福茶(黒豆三粒、山椒三粒、小梅ひとつ)
二日からは早、店を開いて初売りとなります。
そこで初売りの節仲間の衆に出す膳です。
重詰め、屠蘇、飯のお菜、硯ぶた(酒肴数種を盛り合わせたもの)、こをなごと鮪の刺身、かきと生海苔の吸い物、鍋焼き(くわい、鴨、松茸、ちくわ)
仲間に出す御膳はなかなかに豪華ですが、内々で食べる料理は想像していたよりも遥かにシンプルなものでした。
江戸中期以降は醤油が普及しましたので、味付けは醤油、そしてシンプルな中にも出汁が効いた鰹節商ならではの贅沢な味わいだったのではないかと思います。
「江戸の献立」(とんぼの本)には、再現された江戸の料理写真がふんだんに掲載されています。ご興味がございましたら是非是非ご覧くださいませ。
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