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あさがお2
朝顔は様々な庶民芸術にも多く登場しています。
【江戸時代初期】
俳句
あさがほに われは飯くふ 男かな(松尾芭蕉)
弟子其角が「草の戸に我は蓼食ふ蛍哉」(俳諧をやり夜遊びもします)と詠んだのを見た師匠である芭蕉が、角が蓼蛍の句に和す(反応する)として、
(弟子のあなたがそうでも、師匠である私は)俳諧を嗜んでも、朝顔が咲くころに起きてきちんとした生活をしていますよと詠んだ歌です。
諫めているわけでは無く、呼応することで、二人で俳諧という道を楽しんでいる句なのではと思います。
【江戸時代中期】
俳句
朝顔に 釣瓶取られて もらい水(加賀千代)
この俳句も良く耳にします。朝顔の伸びた蔓をそのままにして井戸から水を汲む事をしなかった優しさが謳われています。
歌舞伎
歌舞伎の助六には”朝顔せん平”が登場しています。見事な大輪の朝顔が描かれた衣装と、隈取りが特徴的です。
白塗りの顔に紅と青黛(藍色)で朝顔に隈取り、眉毛は蕾(つぼみ)、髭は葉の形に描かれています。何言ってんだとお思いでしょう。私もそう思いましたが、ホントにこのまんまなんです(笑)
【江戸時代後期】
医者でもあり、戯作者でもある馬田昌調が、近松徳三が舞台化しようとし出来なかった「朝顔日記」をもとにして、読本「朝顔日記」を刊行。好評を博し、歌舞伎や浄瑠璃にもなっています。
ヒロイン美雪は蛍狩りで阿曽次郎と出会います。見初め合ったものの別れ別れに。ふさぐ美雪に縁談が舞い込みます。お相手の名は駒沢次郎左衛門。なんと駒沢次郎左衛門は、出世した阿曽次郎なのですが、そんな事は露知らず深雪は結婚を拒み出奔。芸名朝顔とし、琴を弾きながら流浪します。兎に角二人はすれ違ったり、すれ違ったり、すれ違ったり。結局ハッピーエンドなんですが、そこに辿り着くまでハラハラドキドキのこの恋の物語は、江戸っ子のハートを鷲掴みしました。
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