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お茶会の流れ
最後はお茶会の流れで締めくくりたいと思います。
しきたりや作法など難しそうで一歩引いてしまいがちですが、浮世絵を見ていると、④の客同士酒を勧めたり断ったりする姿や、⑤の腰掛け待合で寛ぐ姿、枚数制限で乗せられなかった亭主側の準備の様子からも、茶会に招くのも招かれるのも楽しいものだったんだなと改めて思いました。
お茶の回、長くお付き合い頂きましてありがとうございました。
①寄付で足袋を履き替え、身支度を整え、路地の腰掛け 待合に移動します。
②迎え付け
亭主は蹲の水を改めて板戸で待ちます。
客は正客から順番に蹲で手と口を清めて茶席へ向かいます。
千代田の大奥 楊洲周延
国会図書館デジタルコレクション
③初座席入り
席に入り、床の間に飾ってある掛け軸を拝見して席に着きます。
亭主が点前をするための入口、茶道口に現われたら、皆で礼をし、正客が代表して迎え入りに感謝を述べて掛け軸について尋ねます。
④懐石
懐石と菓子を食べ終わったら、客全員が気持ちを合わせて膳に置く「箸落とし」の音で襖の向こうで控えている亭主に知らせます
⑤中立
亭主が茶を立てられるように、座を整えるのを待つために
床の間と炉を拝見して、また腰掛け待合に移ります。
⑥後座
亭主は座を整えると、銅鑼を鳴らして知らせます。
銅鑼の音の合図で客はまた、蹲で手と口を清め、席に入り、床の間と炉、道具などを拝見し席に着きます。
その後濃茶を頂きます。
茶の会好き 豊国
国会図書館デジタルコレクション
⑦干菓子と薄茶を頂きます。
床の間、炉、道具を拝見して亭主に礼をして退席します。
⑧寄付で身支度を整えて席を後にします。
以上が基本的な流れで、この流れに、炭、花といった点前が入ることもあります。
④・⑤・⑥・⑦・⑧は水野年方茶の湯拾五番下繪となります。
明治時代の浮世絵画家ですので、⑧は近代的な玄関となっています。
国会図書館デジタルコレクション所蔵
~追記~
お茶席のお菓子はいつごろからだされていたのでしょう。というペコメを頂きました。
利休は「ふの焼き」と呼ばれる和風クレープを好んだようです。
小麦粉を水で溶いたものを平鍋で薄く焼き上げ、味噌を塗って、くるくると丸めたり、四つに折り畳んで完成です。味噌にクルミや砂糖などを入れたバージョンもあったようです。
この「ふの焼き」は、神饌菓子として唐から伝わった菓子をアレンジして作られたもののようです。
これ以外には果物や、昆布などが茶席に出されたようです。
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