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「…心器使いなど、私の相手ではありません!私は武器に己の心を乗せるなどという魔術頼りの力など言語道断です!」
「…やっぱりあんたも同じ考えか。何でか知らないけど、ここの学園ってホントに心器使い養成科と騎士養成科の仲悪いよね。」
ラーティは半ば呆れたような物言いをした。
「戦いで武器を使うなら己の力のみで臨むべきであって…多少頭脳に長けた戦術はよくても、己の力以外を戦士が使うなど…認めたくありません!」
仮面の少女は机をバンと叩きながら立ち上がった。仮面で顔こそ見えていないが、その裏には抑えきれない怒りがあった。
―翌朝、修練場―
この世界でも…早起きは三文の徳!であってほしい。
「オレそもそもそんなに運動得意じゃないけど、この世界に来た以上…多少剣が振れるようになってないと恥ずかしいみたいな感じだからなぁ…よし!」
ユウマは剣を勢いよく引き抜いて、くるんと手首のスナップを効かせて一回転させ、肩に軽くのせた。
「せやぁぁぁぁぁっ!」
ユウマは掛け声と共に右足で地面を強く蹴り、素早く剣を振り下ろした。自分でも驚くほどのスピードが出たこともあり、ユウマは言葉を失った。
「……この世界でこんなことができるのか。なら、こんな構えなんてどうだろう?」
今度は竹刀を持つような感じにした後、そのまま数歩後ろに下がって助走をつけ、飛び上がった。
「うおおぉっ!」
バキィィィィィィン………
剣は真下に振り下ろされ、そのまま床に軽くめり込んだ。ユウマは助走を強くつけたことで高く飛びすぎたことが原因で剣を振り下ろした弾みで前方に勢いよく転がってしまった。
「ぁ痛って…やべっ、剣が床にめり込んじまった!早く取らないと先生に怒られて減点されるよー!」
早起きは三文の徳なんて、そんなことは微塵もなかった。
~予告~
心器使い養成科と騎士養成科の対面式、しかしその最中に両科の生徒たちが互いを攻撃し出すアクシデント発生!
次回〈不仲と暴走〉
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