漆黒の呪剣

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「素直じゃない子は嫌われるって知らないかなぁ?」 「私は私自身が選んだ剣で…私自身の力で強くなります!他者から与えられたものなど、よっぽど親密な関係の者から送られたものでない限り使うわけにはいきません!」 「お口が固いお嬢さんはとても苦手でねぇ。ならば…抉じ開けさせてしんぜよう!」 バルハリアは本来ならば両手で扱うべき大剣を右手で持ち、片手で魔法攻撃を繰り出してきた。 「大剣を片手で扱おうなど…騎士養成科で学ぶ私の相手ではないようですね、生徒会長殿!」 シアンのそのセリフとは裏腹に彼女はあっさりとバルハリアの魔法で足止めをくらい、大剣で薙ぎ払われ、勢いよく転がってしまった。 「なっ…何をしたのですか?」 「僕はね…君たちが最も毛嫌う心器使い養成科の所属だからさ…魔法も使えちゃうんだよね。」 不覚…私は戦いにおいて二刀流はまだしも魔法を組み合わせた二段構えを嫌っているのに…その嫌っている術に一撃をもらってしまいました。 「約束したよね、これに負けたら君には色々と懲罰を下すってさ。」 バルハリアの狂気じみた笑顔はシアンからすれば仮面越しだったが、彼女はあっさりと凍りついたように動けなくなってしまった。 「私は近い将来…騎士となる身!この学園で剣を磨き、前線で指揮を執れるくらいの存在になってみせる…そのはずだったのに…こんなこと…」 「戦意が消えた騎士は騎士に有らず!ってことで、僕の勝ちとさせてもらうよ、シアン。」 …ギャリリリィィン 「か…はっ……」 シアンは鞘に納めたままの大剣を叩きつけられたことで、頭を強く打って失神してしまった。 「多少手荒な手段に出てしまいましたが、私の実験材料が完璧に揃ったのもまた事実!さぁ、僕の最っ高の操り人形《ドール》を作って、忌々しすぎるユウマってやつに一泡ふかせてやるかぁ!」 バルハリアは高笑いしながら気を失ったシアンを抱えて生徒会室の方へと戻っていった。
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