特別エピソード ウォーオブゴッド 上 

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「とにかく今はこの事をエルシディータ様に伝え…無くてもあの人なら分かっちゃうか。」 「恐らく、天地のバランスが乱れ始めているようだ。」 黒光りする背丈の大きな神…シャルハダーが二人に声をかけてきた。 「シャルハダー!いつからそこにいたんだよ!」 「驚かせたのなら申し訳ないね。たった今地上界の雪国を訪ねてきたが、私を祀っている祭壇が何者かに壊されていた。」 「…なるほどね。祭壇は俺たちが地上界に降り立つときに絶対必要な場所。そこを壊されたってことは」 「仮に何者かが地上界を襲撃した場合、そこにいる人々が私たちの加護を受けるどころか、私たち自身が彼らに助力できないということになります。」 「…一体どこの誰がどのような経緯でこんな真似を。」 ライギリは太刀の柄の部分を右手で強く握りながら悔しさを滲ませた。 「エルシディータ閣下も、この事態に黙るはずがないでしょう。ですが、連日このようなことが起きていることは雪の精たちから山ほど聞いています。迂闊に動くなという警告でしょうね。」 「ありがとう、シャルハダー。雪国は俺のパワースポットでもあるんだ。だからこそほっとけないよ!」 「ルドラス、お気持ちは私とて同じです。ですが、ここで熱くなるのは敵の術にはまることになります…慎重な選択を。」 「分かってるよ、シャルハダー。」 俺たちが地上界に降りられなくなっていることで敵にとってメリットが二つ。天界でドンパチやるもよし、地上の生命を蹂躙してから支配するもよし…どう攻めてくるかわからないなら、黙って指咥えて好機を待つしかないか。 「あれっ、シャルハダーにルドラス、それにライギリまで!真剣な顔してどうしたってんだ?」 黒地に白のファイアパターンが入ったマントを翻し、グロードがやって来た。彼はまだ今起きてる異変には全く気づいていなかった。 「来ましたか…グロード。あなたにも忠告をしておこうと思いまして。」 「忠告?またオレたち地上界に降りろって上からの命令か?」
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