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「いえ、エルシディータ閣下からは何も聞いておりません。ただ、今この世界で起きている異変について教えておこうと思いまして。」
「この世界がおかしくなってるってやつか?それならオレも天使の噂話を小耳にはさんだぞ?」
「ならば説明不要ということでよろしいと。」
「しっかし罰当りもいいとこだよな?オレらは権限もそうだけど、実力もかなりのモンだっていうのに。今時物好きもいるもんだな。」
「ただの物好きの嫌がらせにしては規模が大きすぎるだろ、グロード!」
「…今ここであーだこーだ話してる暇があったら、閣下に伝えに行こうよ!」
ルドラスはまとまりきらないその場の雰囲気をまとめるために最善の行為を口にした。
「…分かった、閣下には我が伝えよう。お前たちは可能なら地上界に降りて事態の原因究明を急いでくれ。」
「「「了解!」」」
四人はそれぞれに分かれて行動を開始した。
―ディヴァインス王国付近の森―
ルドラスが祀られている祭壇はたったひとつだけだが、何人にも分かりづらい場所にあるため、まだ破壊されていなかった。
「この辺は少し前のトラウマがあってあんまり来たくはなかったんだけどなぁ…世界がどうしようもなくなる前に片付けるか。」
この森はディヴァインス王国管轄の森だが、妖精の都市と連絡しているのが特徴である。そのため、他の森より馬車道等の整備が整っていたり、小規模ながら休憩所も存在していた。
で、ルドラスは今自分の体を人間の男の子の姿に変えて活動していた。
―妖精の里・フェシーの家―
「おーい、フェシー!いるんだろ、返事してくれー!」
「…人の家に土足で上がるのはダメだよって言ったでしょ、ルド?」
桃色の長髪を青いリボンで止めた白いワンピースを着た少女は眠たそうな声を発しながら降りてきた。
「起こしちゃったなら謝るよ。…って、そんな茶番いいから!とにかくまずは俺の言うことを聞いてくれ。」
「あら、いつも私のお茶にしか目がないあなたがそんなこと言うなんてね。」
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