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「…おう、分かった!ならせめて、アイツらがヤバくなってきたらそんときは手を貸してくれよな!」
「うん、できる限りの協力はするよ。」
「しかし妙ですね…なぜ邪魔なはずの我々をこうも後に回したのでしょうか。」
神の中でも博識なシャルハダーと言えど、今回の謎の勢力による武力行使には疑問ばかりが募っていた。
「ヤツらにとって我らは厄介この上ない存在のはずでは…放っておくなど自分たちが危うくなることに気づいていないのか?」
「気づいてたとしたらとっくに潰しに来てるだろ?ってことはやっぱあれだな、ルドラス!」
「そうだね…あ、分かりやすく言うなら〈予め用意しておいた大規模な軍隊を二手に分けて侵攻させた〉可能性が高いね。」
「………決まりですね。今回の件に地底の魔族は何一つ関与していません。」
シャルハダーの唐突すぎる考察にルドラスたち三人も思わず大口を開いて言葉を失った。
「なら、どこのどいつが何のために仕掛けたと言うのだ?」
「天魔族……でしょうね。それ以外に私たちに異を唱えたときに武力で押さえ込めそうな種族はいませんから。」
天魔族…オレたちの間でも正直おとぎ話レベルでしかその存在を知られていない未知の種族。羽は神々のごとく純白だが、その形は誰がどう見ても悪魔そのもの…高い知能から繰り出される魔法や剣技は神のそれに勝るとも劣らず。
…え、待って。これは完全にアウトだ。そんなレベルの軍勢がその半数だけでオレたちに挑むの?いくら神が強いからって、その人数をオレらだけでやるのは大気中のマナ(魔法使うときにいるやつ)を使いきらない限り無理だって!
「ルドラス、先程から顔色が悪い気がしますが…やはり地上界視察で疲れましたか?」
「あ、いや、大丈夫!ただ、あいにく識別とか索敵の類いの魔法を使えるヤツらがウチにはいないから勢力の把握が難しいんじゃないかって思っただけ。」
…こういうときの神様はほんとに魔法的脳筋主義だなと思う。なんで攻撃と補助と回復の最上位魔法しか使えないんだオレらは!
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