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―シュゲール・中央区―
ディチャード陛下率いる軍隊はウヴァーが率いていた部隊とは別の悪魔の部隊と交戦していた。
しかし、ディチャードやシュゲールの残留兵だけではとても敵うような感じではなかった。
「ディチャード陛下、報告です。たった今重傷者が出たそうです!」
「何ぃ、まさか…カインか!」
「はい…現在、救護隊に頼み治療に専念させています。しかし、意識を失っているので、安否確認は難しいかと。」
「…仕方あるまい、とにかく今は国の滅亡を阻止するのだ。カインは騎士道精神に乗っ取って怪我をしたのだ。それに、カインのお陰でこちらの戦力を均等にできた。それを無駄にするわけにはいかん!」
ドガガガーン…
「貴殿が、かの軍事国家ディヴァインスの国王か。我が名はグシオーン!是非とも手合わせ願おうか!」
グシオーンと名乗った悪魔もまたただの悪魔ではなく、天魔族の一人で『知の闘士グシオーン』と呼ばれていた。
「よくぞ私がこの軍の統率者と分かったな天魔の者よ!だが、元々王国の騎士団を束ねていた身として、負けてやるわけにはいかんなぁ!」
ディチャードは腰から剣を勢いよく抜刀してそのまま構えた。マントが風にたなびいたこともあって、圧倒的強者としてのオーラが出ていた。
「貴殿が剣の立ち合いを所望するのなら、我も剣で語らせてもらおうか…『知の闘士』とやらを!」
グシオーンは背中に帯刀していた斧を引き抜き、その異様な刀身をギラリと光らせた。
「では改めて名乗ろう…軍事国家ディヴァインス国王ディチャード・ディヴァインス!」
「天魔軍参謀兼将軍・グシオーン!」
「「参る!」」
―その頃、魔法の谷―
「ぐぁぁあっ!」「わぁぁぁっ!」
「クハハハハハ!お前らホント雑魚いなぁ!準備運動にもならねぇよ。」
オレはこのとき知らなかった…オレのもう一つの故郷が蹂躙されつつあることを。
そして、自分が〈覇壊神〉になってしまうことを。
―『ゼロへの氷砕』に続く―
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