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ゼロへの氷砕(新章0話)
この世界は、神がいようがいまいが動いている。…時間は神でも動かしてはならないものだ。
しかし、オレたち神にとってそれは時に…歯がゆく、後悔をもたらすことになりかねない。
この時代を生きるオレが…その被害者で、加害者だ。
―魔法の谷・集落―
魔法の谷にある小さな集落は今、たった二体の天魔族の襲撃によって壊滅の危機を迎えていた。
「誰か…動けるヤツはあの魔女を呼びに行ってこい!じゃないと俺たちはおしまいだぁ!」
「わ、分かった!なら、せめてオレが呼びに行ってる間は何とかして時間を稼いでてくれ!」
この集落には〈氷結の魔女〉と呼ばれる一人の大魔導士がいた。彼女の魔法は氷属性のみだが、繰り出される魔法一つ一つの精度が極めて高く、その魔法で何度も敵を退けてきた。
「何か策があるみたいだけどよぉ…オレらが何族か分かってんのかぁ?」
ダンタリオの魔法が付与された拳は地を叩き割り、衝撃波で辺りを大きく吹き飛ばした。
「何としても…持ちこたえろ!ここはかの自由神の故郷だぞ!」
ピクッ
「へぇ…そいつはいいことを聞いたなぁ。ちょっと待ってろよ、へへへっ!」
ダンタリオは魔法の谷の奥地にある『自由の祭壇』を目指して去っていった。そして、入れ替わるように彼と共にこの地へ来ていたキマリアが姿を現した。
「…ぐっ、祭壇に援護を向かわせろ!」
「向かわせるだけ無駄ですよ。私たち天魔の一族は不敗の一族…あなたたちに勝ち目など無いのです。」
キマリアは自分よりも大きな槍を出現させて、地面に突き立てた。その槍にはいたるところに見るものに絶対なる恐怖を抱かせるような装飾がされていた。
―天界・広場―
ルドラスは幼なじみで同じく神の立場のラファーガと少し話をしていた。
「ルドの恩師?そんな人がいたの?」
「うん…ものすごーく小さいときに、オレに氷の魔法を教えてくれたすごい魔導士がいたんだ。ただ単に魔法を教えてくれただけじゃないんだよ。」
「そっか…じゃあ、今ルドは地上の人たちが心配なんじゃないの?」
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