ゼロへの氷砕(新章0話)

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「心配してないって言ったら嘘になるけど…その魔導士…カーナさんがいてくれれば、大丈夫だよ、きっと。」 「なんか、ルドっぽいかも。」 「何だよそれ!またオレのことからかってるんじゃないだろ…っ!?」 ルドラスは不意に頭を金槌で殴り付けられたような感覚と痛みに襲われた。とうとう彼の祭壇が壊された証拠だった。 「ルド……ホントに大丈夫?もしかして、地上で大変なことが起きてるんじゃないの?」 ディヴァインス付近の祭壇は位置的に壊される危険性はほぼ無い…だとすれば、次に狙われる場所は…まさか!? ―魔法の谷の集落― 「ダークブリザード!」 漆黒のローブを身に纏ったどこか神秘的な雰囲気の女性は、黒光りする氷のステッキで自身の最も得意な魔法を繰り出した。 黒い吹雪が発生し、ダンタリオの体を一瞬で氷のオブジェに変えた。 ピシッ、パキッ… 「ぐぅぅ…やるじゃないか、お前。けど、黒い氷を使うってことはお前、元はオレらと同じ魔界の連中だったろ!」 「ええ、そうよ。私の名前はカーナ。あなたもよく知るあの〈氷結の魔女〉その人よ!」 カーナと名乗った女性は顔をおおっていたフードを外し、その色白で綺麗な顔を公衆の面前を前で露にした。 悪魔の象徴である角はかなり小型化していたが、女性の悪魔によく見られる血のように赤い瞳は健在だった。 「裏切った野郎なんて相手じゃねぇぞコラァ!さっさと天に召されて来いやぁ!」 「…本当に愚かね、ダンタリオ。あなたほど倒しやすい悪魔なんて、他にいないわ。」 「んだとてめぇぇぇ!」 「さようなら、ダンタリオ。罪深き天魔の恥さらしよ。…ドール・フリーズエンド!」 カーナは闇雲に突っ込んできたダンタリオを真っ黒な氷ですっぽり包み込んだあと、『パチン』と指を鳴らしてそれを割った。 「あのダンタリオを…たった一回の魔法で倒してしまうだと…ふざけるな!貴様…万死に値するぞ!」 「罰ならいくらでも受けましょう…来世で!」
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