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回り道になってもいい…行かなきゃいけないんだ。オレが…育ったあの場所をぶっ壊されてたまるか!
ルドラスはやむを得ずディヴァインス付近の祭壇から地上界へと降りていき、そのまま魔法の谷を目指して疾風のごとき早さで駆け出した。
―魔法の谷の集落―
「ぐぁっ!……強いわね、バァル。」
「もう満身創痍ですか、カーナ。人間側に付いたことで魔族としての力が薄れたのですか?」
「あなただって見たでしょう、あなたの部下二人を殺めたところを!まだまだ私は戦えるわ!」
「私の能力…〈絶命剣〉からは逃れられませんよ。つまり、私が眼前に存在している時点であなたの死は決まったのです!」
「凍らせればこっちのものだって行ってるでしょ!」
ガキィィン…バリッ
「魔法と少しの武術だけで私に歯向かったことを後悔させてあげましょうか。」
バァルは腰から二本の剣を取り出し、独特な構えをとった。これこそがバァルの本気の戦闘の構えであり、〈絶命剣〉はここから放たれる攻撃法の総称だった。
「少しの武術…私だって悪魔よ、杖の一つや二つで物理攻撃もできるわ。」
ガキィィン…
「こちらは二本の、あなたは一本の武器でどこまでやりあえるのですか?」
「最悪道連れよ!私らしくなくて嫌いだけど、私が愛した場所は私が守りたいの!」
キィィィン
「魔女とは名ばかりと侮っていましたが、やはり危険に越したことはないようですね!久々に剣をとった以上、必ず討ちますよカーナ!」
「あなたに私の首が取れると思ってるのかしら?」
二人は目にも止まらぬ速度で互いの武器を振り、互いを倒さんと殺気立ち始めた。
―魔法の谷に続く道―
お願いだ…時間よ、オレに力を貸してくれ。今オレは守りたい人が…守りたい場所があるんだ。だから…ほんの少しだけでもいい…時間よ、遅く流れろ!
でなきゃ…オレが神様として生まれてきた意味が無くなっちゃうよ。今のオレは完全に姉を心配する弟そのものだ。だから…守らせる時間を…オレにぃ!
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