ゼロへの氷砕(新章0話)

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ルドラスから発せられた黒いオーラは瞬く間に周囲を凍りつかせた後、ガラスが割れるような音をたて、爆ぜた。 「こっ…これは、まさか…〈覇神化〉なのか?いや、あり得ない!心が壊れた神は私のような天魔に堕落するはずだ!」 〈覇神化〉とは、稀に怒りで心のバランスが崩れてしまった神が闇でも光でもない謎の力に目覚めることであり、簡単に言えば暴走して姿が変わってしまう現象のことである。 「一体何がルドラスをこのような姿にしたというのだ!」 『お前から手始めに…跡形も無く破壊し尽くしてやる!グォォォォォォッ!』 ルドラスは杖の機能も併せ持つ槍斧を地中で生成、取り出すと目の前の敵の脳天めがけてそれを力任せに振り下ろした。 地面が勢いよく抉れて、さらにそこから真っ黒な氷塊が生成され、それが炸裂した。 もう今の彼は何を言っても正気には戻らないような状態だった。 「ぐっ…ぬぅぅ…おのれ…ルドラスゥ!」 『これがオレの全魔力の結晶だぁぁぁぁぁ!消えろ、バァルぅぅぅぅ、コネクティアースぅぅぅぅ!』 ルドラスは自身の武器に今蓄えていた魔力の全てを注ぎ込み、そうしてできた巨大な槍斧を何度か振り回して空へ飛び上がり、バァルを討つべく正確に振り下ろした。 しかし、バァルも二本の剣でこれをしっかりと受け止めて見せた。 「私は神になる…そしてこの世界をかくあるべき方向へと持っていく!その邪魔は誰にもさせん!」 『お前がやろうとしていることも…お前がやってきたことも…お前の存在自体も!この世界にとって…オレにとっては邪魔以外の何でもないんだよぉ!』 剣同士が激しくぶつかったことで、半径五百キロメートル圏内にとてつもない量の魔力の衝撃波が発生し、言葉通り辺り一面全てを吹き飛ばした。 やがて、バァルとルドラスは自身の持てる魔力の全てを完璧に使いきり、そのまま力尽きて両者ともに消滅してしまった。 ~完~ ~予告~ 現実が眠るとき、もう一つの現実が目を覚ます! 遊真を含む臨海市の子供たちを待つ運命とは? 『メニーワールド・ファンタジア カースダウン・キングダム』2019.07.31、START
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