エピローグ

1/1
1469人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ

エピローグ

 俺の傍らに真紅のドレスを身に纒う沙羅の姿がある。  会場内は大勢の招待客で溢れ返り、挨拶廻りに追われる。それが一息つき、社長就任の挨拶が始まる。壇上から挨拶を述べた後、伊織が花束を手に歩いて来る。  12本の大輪の薔薇が手渡される。 「おめでとう、來斗」 余裕ある微笑みに不思議に安心感を覚え始めていた。伊織の手が俺の肩を軽く叩く。 「沙羅、こちらにおいで」 赤いドレスがよく似合う。美しく着飾る沙羅の足元に跪くと、周りから驚きの歓声が上がる。  薔薇の花束を沙羅へと差し出す。 「結婚しよう、生涯を一緒に」 大輪の薔薇が沙羅の胸に抱かれる。沙羅は優しく微笑み、花束の中から一輪を抜き出し長い茎を折る。 「ありがとう、來斗」 胸にあるポケットに紅く咲き誇る一輪を挿し込む。  dozen rose―― 女神の祝福が俺の胸元を美しく飾る。 [完]
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!