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「そろそろ帰らなきゃ」
「家まで送るよ」
「ありがとう。ごめんね、いつも早くて」
今度改めて、両親に紹介をすると約束をして、結弦に自宅まで送ってもらう。閑静な住宅街にある邸宅に辿り着くと車を壁際に寄せる。
数年間続いているいつものパターン。
「またね」
「おやすみなさい。気をつけてね」
前髪を指で分けて額にキス。結弦との関係はまだここから先に進めていない。
「紗羅」
「……だぁめ、家の前よ」
顔が近付いて誤魔化す。キスくらい、って思うのに。
結弦の運転する車を見送る。曲がり角の方へと車が消えて行くのを確認をして、家に入る。
ごめんなさい、結弦。あと少し待っていてね。
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