WhiteRose [純潔]

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 昔懐かしい日本邸宅。古びてはいるけれど、かなりの庭の広さ。母と私は本宅、兄の來斗は庭の奥に別棟を建てて其処で暮らす。  食事は本宅でと決まっているから、來斗とはよく顔を合わせている。  「紗羅、お帰り」 リビングダイニングで、ゆったりとしたソファに腰掛ける來斗が振り返る。  切れ長の瞳にシャープな顎のライン。綺麗な鎖骨が緩いシャツの首元から見えてる。  すっかりくつろぎモードの來斗に、いつもドキドキさせられてる。手招きされて來斗の横へ。 「來兄(らいにい)、早いのね」 「親父にちょっと話があったんだ」  なんだろう、また仕事の話かな。 「珍しい、來兄呑んでるの?」  ダイニングテーブルの上に、父愛用のブランデー。 「紗羅も呑む?」 「お酒は苦手だもの」
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