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OrangeRose[魅惑]
【side_紗羅】
來斗が出張に出掛けた数日後。結弦と待ち合わせをして駅前通りのカフェレストランへ。
もぉ、結弦遅いな。とっくに約束の時間を過ぎてる。ちらちら腕時計に目を落としていたら。
「水波紗羅さん?」
「え……」
「結弦の兄です」
不意に声を掛けられて目が釘付け。
亜城 伊織
琥珀色の瞳に栗色の髪が揺れ動く。
落ち着いた声。切れ長の綺麗な瞳に端正な顔立ち。スラッとしたスタイルにスーツがよく似合う。
どうして――? 伊織の姿に鼓動が早くなっていく。目が離せなくて見つめてしまう。
「紹介したい人がいるって呼ばれたんだけど」
伊織が言いながら私の正面に腰掛ける。辺りを見渡してる仕草のひとつひとつに目が奪われる。
「あれ、結弦まだ来てませんか?」
貴方は誰なの? それは結弦よりも――
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