BlackRose[貴方は私のもの]

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BlackRose[貴方は私のもの]

【side_伊織】  追いかけた沙羅は今にも崩れ落ちそうな危うい瞳をしていた。 「本当に一人で大丈夫ですから」 作り笑いが俺に向く。 「泣いているようにしか見えません」  俺と來斗が兄弟だという事実を、沙羅は受け止めきれていない。結弦との結婚に支障があるせいだと思っていた。 「あの、駅で……」 「家まで送りますよ?」 とにかく車へと沙羅を乗せた後で、沙羅は行き先を告げてきた。 「もしかして帰りたくない?」  來斗にまだ―― 会えません。 紗羅の中にある想いに俺はまだ気が付けない。 「少し寄り道をしましょうか」 泣き出しそうな沙羅を放ってはおけなかった。
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