はじまりのはじまり

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はじまりのはじまり

「わたし、大きくなったら女優さんになる!」 小さい頃は叶わないことなんて、ないと思っていた でも、もう気づいてしまったんだ さんざん、突き刺さるような視線を向けておきながら 面倒なことになった途端、私の存在なんてなかったかのように、 足早に通り過ぎていく人々 世界なんてそんなもんだって、そんなんじゃなにも叶わないって だから私は、夢も、恋も諦めた もうなにも望まない、そう決めていたのに… 「大丈夫?はい、どうぞ。」 「あ、ありがとうございます」 あなたは私をみつけてくれた 体を折り曲げ、懸命に手をのばす私に優しく、 求めていたものを手渡してくれた その日から、あなたは毎日のように、私に声をかけてくれるようになった 「おはようございます」 「え、あ、おはようございます この間は、ありがとうございました。」 そして、今日もまた… 「みちるさん、おはよう!」 ねえ、少しだけ、望みを持ってもいいですか。
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