いつか私達はこの雨を降り止ます方法を忘れてしまった

ホンモノ

「じゃあ、私が捜すまでだぁー！ どこだぁ、出てこぉーい！」

「あっ、ちょっと！」

突然子供のようにはしゃぎながら走り出す美奈子姉。

初めて会った時も、そうだっけな。
大人っぽさを感じさせながら、オチャメなところもある。

悪くはないんだけど、多分理雄は美奈子姉の事はあまり好かないだろう。

だって。

「ねぇ、弟君の名前何て言うの？」

「え、理雄だけど」

「よぉぉーし、覚悟しろ理雄ー！」

こんな風に、男の子の事は名前が分かるなり呼び捨てするような人だから。