ホンモノ

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「何かあったら言ってくれたら良いんだからね。バイトの時間は無理だけど、メールしてくれたら必ず返信するからさ」 「ホンモノの親戚でもない癖に何を言うんだ」 ……時々思う。 親戚の中に、俺の事を疎むヤツがいるんじゃないかって。 コイツは特別なだけなんだ。 それでもウザイけどさ。 コイツは「ううん」と首を横に二、三回振ってから再び口を開いた。 「ホンモノでもそうじゃなくても、理雄が今いたいと思う場所がホンモノの居場所だと私は思うなー」 何気に放たれた一言に、ホンの少しだけチクリと痛んだ。
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