お帰り、そして

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「えっと、あの、その……その子、あの、えっと……私がこの前財布を盗んだって話になって、それから暫く虐められてたんだけど、なんか、いつの間にか虐められなくなったんだ……そしたら、その子が……」 時々尻窄みになりながら、私はモジモジとしながら話した。 私は私で、その間友達と楽しいハズの時間を過ごしてた。 でもやっぱり、全然楽しくなくて。 桜と過ごしてる方が断然良くて。 もう、自分で何やってるんだろって嫌になる。 「だろうなとは思ったよ」 「え? 記憶がないのに?」 聞き返すと、理雄は気まずそうに視線をそらしながら言った。 「……希さん、こんな事も言ってた。万里さんの代わりに私の姉が虐められたんですって」
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