0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
プロローグ
部屋の中に嬌声が響く。肉のぶつかる音。独特の臭い。それらが立ち込める部屋で一組のカップルが、其処には居た。そして、情事が終わったのか、一息ついている。
「アスエニア、やっぱりお前は最高だな」
「ふふふ、当たり前。アノイトス、ねぇ、貴方は私を裏切ってないわよね?」
「何言ってるんだよ?俺はお前に首ったけ何だぞ?他の女に目が向くと思ってるのか?」
「その言葉“信じてる”よ」
「ああ、信じてくれ。事実だからな」
こうして、アノイトスは嘘を重ねる。
「ねぇ、そろそろまた、しよ?」
「おう!やろうじゃねぇか」
こうして第12ラウンドが開始される。
―――――
「国王陛下、アノイトス、只今参上致しました」
「うむ。表を上げい」
「はっ」
「此度の戦、誠に見事であった。お主が此の国に居る限り、我が王国は安泰であるな」
王は朗らかに笑う。
「その様な賛美、身に余る公営でございます」
「うむ、今回は暫く休暇を与える。ゆっくり休むとよかろう」
「はっ、承知いたしました」
「おお、そうじゃった。その前に戦勝パレードを行うのでな、その支度をしておきなさい」
「はっ、承知いたしました」
「うむ、ではパレードの責任者はアノイトスに指示を出せ。では、下がって良いぞ」
「はっ」
そう言って、謁見の間を出る。すると一人の文官もついてくる。そして、戦勝パレードとやらの説明を受けるのだった。正直な所めんどくさい。
(ああ、早く女の子とエロい事してぇ~)
そう。こいつはヤることしか考えていない、変態野郎だ。ただし、彼は此の王国で最強と謳われている。戦場に出れば一騎当千の活躍をする。女を与えておけば、必ず我が方の勝利をもぎ取ってくると。それほどの他者と比べ、突出して居るのだ。彼は文字通り、一騎当千の活躍ができる。魔法をもろともせず、敵陣に突っ込み、一人で千人以上殺してくる。敵からも恐れられている存在だ。魔力が異様に高く、光属性の魔法を得意としている。
魔法は基本的に全属性が誰でも使える。ただ、得意な魔法が異なるというだけで。彼は光属性。滅多に居ない光属性の使い手である。光属性は治癒やバリアの役割を果たす魔法が使える。先程魔法は誰でも全属性を使えるといったが、例外がある。それが、光と闇属性の魔法である。光は誰でも使える。ちょっとした擦り傷であれば、10分程度で完治させられる。これが一般的な魔法使いだ。だが、彼は違う。重傷という大怪我を負っても、一瞬で完治させられるほど、光属性を得意としている。そして、闇。これは魔族という、人類の敵しか使うことのできない魔法である。今の所人類で闇属性の魔法を使えたものは歴史上存在していない。だから、誰でも全属性が使えると表現したわけである。もともと使えない闇属性意外は全て誰でも使えるのだ。
彼が最強と言われているのは何も光属性を得意としているからだけではない。魔法全般とてつもなく良い成績を出せるのだ。確かに光属性には劣るが、どの属性の魔法もマスターのクラスまで扱える。彼は状況に応じて、魔法を使い分け、敵を倒すのである。だが、それでも彼が最強だと言うにはまだ足りない。なぜなら、魔力というのは消費するものだからだ。消費して空になったら、魔法は使えない。だが、彼は光属性を得意としていた。得意すぎたのだ。何と魔力を治癒する魔法という、何とも矛盾した魔法を使うことができるのだ。彼は魔力が尽きることは無い。常に魔力を治癒する魔法を行使しているからだ。そして、剣術。突出しているわけではないが、地味に王国1の腕前を持っている。
これが、彼は最強である。と言われる所以だ。
だが、そんな彼にも弱点と呼んでもいいような物がある。彼は此の世界最強の名声で持って、女の子にモテモテである。とは言え、彼にはちゃんと彼女は居る。だが、こいつはクズだった。可愛い女の子を厳選して、つまみ食い。これが彼の趣味だ。この女癖の悪さ。これは一種の弱点だろう。王は苦労している。何故か。彼に取り入ろうとする間者を防ぐためだ。可愛い女の子なら誰でも持ち帰り、ヤりまくる。女性が複数でもお構いなし。因みに好物は処女とロリ。合わさった存在なら、お気に入りリストに入る。言い寄ってくる女性に合致した子が居ると、さあ大変である。毎晩パーティーが開かれる。因みに、現在お気に入りは12人。一人でという子もいれば、複数でも構わないからという子も居る。だが、不思議と彼には子供ができない。これは王族も結構困っていることなのだ。彼のような強い者が、遺伝子を残せないとなれば、国の一大事。なんとしても子供を産んでほしい。そのため好みになりそうな女性でファンの子を送るのだが、今の所誰も孕んでは居ない。当人はこれ幸いと、更に女の子に手を出す頻度が上がっているのである。
戦勝パレードの話を聞き流していると、お気に入りの子が通りかかった。俺は直様合図を出す。その子も顔を真赤にさせて頷く。
(今夜はマヤで決まりだな)
「アノイトス殿?聞いておられたか?」
「ああ、大丈夫だ。まぁ、なんとかなるだろう。じゃあ、俺は忙しいから帰るな」
「……はぁ、わかりました。再度文書にまとめて自宅へと送らせますのでお読み下さい。戦勝パレードは3日後です。よろしくお願い致します」
そう言うと文官は離れていった。
俺は意気揚々と帰宅するのだった。
―――――
(アノイトス……許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない)
其処には一人の少女、いや美少女が居た。彼女の心の裡は目が語っている。だが、彼女を見ることのできるものは、此の王城には誰も居なかった。
―――――
「ただいま~」
「あら?おかえりなさい!アノイトス、今日は久々に帰ってきたんだし、その、沢山しようね?」
「いや、今日は会議が此の後王城であってな。飯を食ったら、行かないといけないんだよ」
「……そう」
「ゴメンな?明日はちゃんと時間取るからさ」
「うん、わかった。わがまま言ってごめんね?」
「いや、俺もお前のところに居たいんだが、すまん」
「いいの、アノイトスの事は“私が一番”知っているから」
彼は彼女の一言に何故か気圧された。
「そ、そうか……所で、アスエニア、何か欲しいものは無いか?」
「そうね~、アノイトスの体が欲しいかな」
彼女は頬を染めながら言う。
「お、おう。そうか。分かった。じゃあ、明日はガッツリ付き合ってやるからな!」
「……うん。楽しみにしている……ねぇ、所で今日王城に行くって言ってたけど、どんな会議なの?まさか浮気とかじゃないのね?」
「アスエニアを放置して浮気なんてありえない。俺がどれだけお前のことが好きなのか知っているだろ?」
「そうよね、私、身長小さいし、ちっちゃい子が好みだもんね?」
「そうだ。わかってくれたみたいで嬉しいよ」
「ふふふ」
今度は彼は悪寒に見舞われた。
「あ、ああ、そうだ……冒険者ギルドはどうだ?うまく行ってるか?」
「……う、うん。まだ、ランクはEのまんま……ごめんね?私も強くなって一緒に戦いたいんだけど……」
「大丈夫だ。俺が守ってやるから」
「あ、ありがとう」
冒険者とは、魔物を倒して、治安を守る為の組織と言ってもいいだろう。他にもちゃんと魔物や宝がある迷宮があり、それの攻略などもしていきつつ、冒険者のランクを上げていく。一番下はGランク。これは、見習い研修中のランクと決まっている。その上がFランク。これは駆け出しの冒険者だ。そして、その一つ上。それがEランクだ。彼女は12の頃から冒険者をやっているが、未だにEランクのままである。冒険者のランクは最高がAランク。一応彼もAランク冒険者ではあるが、既に軍人の様な扱いを受けている。実際、貴族の位を貰っていて、此の国に奉仕する義務がある。給金も支払われるし、最高の環境と言っても過言ではないだろう。
閑話休題。
とまぁ、冒険者ギルドとは、そのランク考査を行い、魔物の駆除に伴い、発生するお金を冒険者に渡す仲介所みたいなところだ。お金は実際には国から支給されている。治安が良くなれば、戦争に力を回せる。それに、彼のように冒険者の中から強い存在が産まれないとも限らない。だから、国は全力を挙げて、冒険者ギルドを支援している。というのが此の国の現状だ。
「ちょっと待っててね、今ご飯温めるから」
そう言って、彼女は調理する。
彼は無類の女好きだ。無防備に向けられた背中。これは紳士として、手を出さないでいられるか?答えは否だ。
「え、ちょ、ちょっと、あ、アノイトス?」
「ごめん、我慢できない」
後ろから抱きつく。
「ちょ、ちょっとまって、火だけ、火だけ消させて!火事になっちゃう!」
そう言うと、魔法で付けた火を消す。
そして、そのままの体制で情事が始まる。
―――――
あれからどれくらい経っただろうか。朝日が黄色い。21ラウンドまでは覚えてられたんだよな……アスエニアは俺以上に凄いからな……。ああ、今日はこのまま寝たい。
「ねぇ、アノイトス、もう一回だけ、もう一回だけ……しよ?」
俺は毎回此の上目遣いに負ける。
「きゃっ、ちょっと、乱暴にしないで……まぁ、激しいのも好きだけど……」
こうして男心をくすぐる。俺の彼女は罪な女だ。
彼は既に忘れている。お気に入りのマヤの事を。
そして、彼は気づいていない。遠征が終わり、最初にするのは必ずアスエニアだということを。
―――――
意識を失った彼を裸で見ている。傍から見たら邪悪な笑みを浮かべていると100人に聞いたら100人がそうだと答えるであろう笑みを浮かべている。
(まぁ、少しはスッキリしたかな?こうやってお仕置きしてあげないと駄目なんだから……まぁ、殺しはしないけどね。だけど私にだって限界ってものがあるんだからね?)
―――――
俺は夕方まで眠ったあと、横で寝ていたアスエニアを起こさないように家を出た。昨日は一晩中アスエニアと一緒に居たから、今日は別な女の子と決めていた。
「ごめん!昨日は行けなかった!」
俺は、マヤの家に向かった。
「もう、昨日はずーっと待ってたんだからね!……しかも、何人か誘ったのに……」
「だから、ごめんって」
「もぅ、しょうがないな~、とにかく上がって?皆また呼んでくるからお茶飲んで待ってて」
そう言ってテキパキとお茶を準備して、マヤは外へ出掛けていった。俺はニヤニヤが泊まらない。そう、これから始まる“パーティー”に心が踊って。
―――――
私は扉の閉まる音が聞こえると同時に起き上がる。
「さてと、今日は誰のところに行くのかな?前回の遠征は8人だったから24回やったけど……今回は滞在長そうだから合間に何回かやらないと、一回では精算できないよね?」
私はくすくす笑って、魔法を発動させる。
「へぇ~、今日はマヤのところか~……ん?他の女を呼びに行った?はぁ、しょうがないな~もぅ~」
私は観察する。そして、他の女が数人集まる。皆、ロリと呼ばれるような体型をしている。
「これから皆で楽しむのね?じゃあ、何時も通り行動しましょうか」
私はメモ帳とペンを持ち、家を出る。そして、マヤの家まで向かう。
「やっぱり鍵は全部かかってるか……しょうがない。何時も通り行きますか」
私は再度魔法を使う。そう、伝説と呼ばれる瞬間移動の魔法を。
―――――
「くっ、はぁ、最高だ!」
パンパンと肉を打つ音が部屋の中から聞こえる。
「出すぞ!」
そう言って最後の一人に出した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
俺以外の全員はぐったりしている。
「ふぅ、やっぱりコイツラは最高だな」
俺は満足して、皆を抱き寄せるようにしてベッドに横になる。至福の時だ。
「ああ、マジ最高!」
―――――
(ふむふむ、いきなり7人とか~、飛ばすね~、じゃあ、帰ってきたら21回はやらないとね。彼を“綺麗”にしないと。それは私にしかできない、私の役目。だって、彼の妻は私なんだから……)
私はマヤの家の天井に立っていた。重力に逆らって。これも魔法だ。そして、逐一すべての行為をメモしたのであった。
(ふふふ、今日帰ってきたら楽しみだわ♪絶対に、絶対に逃さないからね?分かってるわよね?ふふふ……)
私は再度魔法を使い、家に帰る。そう、ご飯を作って彼を待たないといけない。
(アノイトス、あなたは逃さない、だけど私は寛大だから許してあげる。私が綺麗にしてあげる……うふふ)
彼の帰ってくる場所は私のところ。彼はそれを守る。彼の防衛本能がそうさせる。
(ふふふ、今日はどんな薬膳にしようかしら?精がつくものがいいわよね?ふふふ)
人には見せられないような暗い嗤いで、家へと帰る。さて、今晩は楽しみだわ♪
最初のコメントを投稿しよう!