私は悪くない!!

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 新しくできた彼はどーにもロマンチックが止まらない男だった。  見てくれは、まあ普通なんだけど、とにかくハートが暑苦しくて、なんていうか私にご執心っていうかべた惚れっていうか。  それについて特段文句を言える立場ではないだろうけれど、私は自称クールちゃん気取りなので彼の暑苦しいのがあんまり得意じゃないっていうかうぜぇなって思ってた。 「僕が君を守ってあげる。僕が君の傘になるよ!!」  最後にはこんなこと言いだした。  いやいや、私の傘になるってあんたに何ができるっていうのよ、と。  まだ付き合いたてほやほやで、お互いの事もわかってないのに大それたこと言うんじゃないよ、と。  今の私たちの関係の深さじゃ、お互いの頭上に振ってくる雨粒一つよけらんないでしょ、と。  まあ、傘になるにかけて雨粒って返す私ってば超クール。  てなこと思ってたら、ある日彼から宅急便で荷物が届いた。  なんじゃらほいって開けてみたら、傘が一本入ってた。  手紙が付いてて、これで君を雨から守れるだろって。  そりゃまあ雨傘だもん。  ていうか、マジ雨粒って捉えられると思わなくて、予想の斜め上を行くまっすぐな男だったことに驚いた。  後、傘持ってないとでも思われてたんだろうかと思うと、それはそれで無礼だよな、といろいろ考えたけど、物貰った時は礼の一つぐらい言っとけってママも言ってたから、メールでサンクスって送っといた。  返信はない。  なめてんのか、あいつ。  まあいい、今度のデートの時、文句言おう。
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