真夜中に馬車が通る

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 私と目が合うと、悲しそうに微笑んで、そっと部屋を出ていった。  きっともう、あの道化師も来なくなるだろう。毎晩毎晩、奇抜な化粧と奇抜な格好で現れて、なぜだか私の気に入るように振る舞おうとする変人。  理由がないと駄目なのかって?  目的もわからずちやほやされるなんて、気味が悪い以外のなにものでもない。ちやほやされて、いい気になって、そして「本気にしてんじゃねぇよ」と突き落とされて傷付くなんて、まっぴらごめんだ。  道化師が去り、それまでの賑やかさがまるで夢でもあったかのようにしんと静まり返った部屋で、私はベッドに仰向けで寝転がった。  疲れた。  誰かと話すのは、とても疲れる。 ***
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