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ポンっと弾けるような音を立てて傘が開く。途端に広がるスカイブルーの空。
『勇気がでるんですよ』
店員さんの言葉を思い出して、こっそり深呼吸をする。 彼が降りてくるまであと5人。
名前も知らない男の子。
もちろん彼も、私の事は知らない。
私が知っているのは、
野球が大好きなんだってことと、
足を怪我していていま松葉杖だっていうこと。
バスの降車場所から駅までの約5メートル。
傘が差せない彼は雨に濡れてしまうってこと。
彼がICカードをタッチするのが見えた。
もう一度空を見上げる。雨雲を背負った方ではなく、自分を見下ろしている真っ青な空を。
さぁ行けわたし。
青空の下、ふわりと傘を揺らした風に背中を押され、一歩足を踏み出した。
end
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