diary1

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始業のチャイムが鳴今日もる。私、小原 鈴花はいつも通り完璧に授業をこなす。 「正座、これから一時限目の授業を始めます、礼」 委員長の仕事である号令をかけ、授業が開始。 一ミリの気のゆるみもなく、真剣にペンを走らせる。 こうして半日が過ぎ、昼休みも一人、屋上で昼食をとる。 隙間時間に勉強をし、少しでも無駄な時間をなくして…。 ———— そう、私は完璧な女の子。 眉目秀麗、容姿端麗、マニュアルどおりの日々を淡々とこなしていく。 「小原生徒会長って、なんだか『アンドロイド』みたいだよねー」 「うんうん。なんだか近寄りがたいっていうか…」 なんて言われるのも日常茶飯事。腰まである黒髪を揺らして颯爽と歩く姿は凛としていて気のゆるみのない美しい姿。 黙々と役割を果たし、規律を守るのが私の仕事。 …のはずだった。 「小原ちゃーん!」 不意に屋上のドアが開き、一人の青年がひょっこりと顔をのぞかせた。 「はあ…またあなたですか…」 規則正しい一日を突如壊しに現れた、イレギュラーな存在。 彼の名前は聖川 翼。 人懐っこい垂れ目と、茶髪が整ったルックスと相まって、クラスの女子に人気のイケメン(?)らしい。 「まあまあそう言わずに…」 にこっと爽やかに微笑む姿は、確かに女子に人気があるのも納得だ。 ———— が。 「前から思ってたんだけど、その髪の色。校則違反よ?なんなら私から校長に話してもいいんだけど?」 「えっ…」 にやりと翼の方を見て、あからさまに悪い笑みを浮かべると翼は一瞬固まったがすぐにいつもの笑みに戻った。 「あはは…いつも言われるんだけど、これ、地毛なんだよ~」 自分の髪をつんつんといじくって翼はけらけらと笑った。 「は?そんなこと言ってもごまかされないわよ…」 「まあいいや。オレ、小原ちゃんとお弁当食べようと思って来たんだから」 そう言って翼はいそいそとポケットから購買で買ったであろうパンの包みを取り出した。 「あなた、いつもそれよね…」 「ん?いやこれでもいい方だよ~…購買のパン、いっつも争奪戦だからさ~」 もぐもぐとメロンパンを頬張るその姿は、もう見慣れたものだ。 早く自分も食べ終わらなければと箸を進める。 男女が並んで弁当を食べるなんて母様が聞いたらとんでもなくお怒りになるだろうな…と思いつつもチラリと横を見ると、目が合ってしまった。 すぐに視線を戻す。 「ねえ、小原ちゃんはさ、なんでいつも一人でご飯食べてるの?」 不意に投げかけられた問いにびくりと肩を揺らしてしまう。 「あなたには関係ないでしょう…」 「え~…教えてくれてもいいのに~」 「ふん、あなたこそなんで毎回毎回ここに来るのよ?」 ———— あなたなら一緒に食べる人、たくさんいるでしょうに…。 そんな言葉をぐっと飲み込んで、また下を向いた。 「そりゃ、小原ちゃんに会いたいからだよ~」 にこりと笑みを崩さないまま、翼はさらりと口にした、その言葉の意味を理解すると…。 「!?」 思わずバッと振り向いてしまった。 「はぁ!?あなた、今なんて?」 「え~いやだから~小原ちゃんに会いたくてここに来たんだよ~」 ボッと顔に血が上るのを感じた。 ———— わ、わ、わ、わ、私に会いたいからぁ!? なんなんだそれは…思わす変なことを考えてしまったではないか。 ぶんぶんと顔を振り払って、雑念を消す。 こんなところ母様に見られたら、どうなるだろう…。 心を落ち着かせて、平常心を保つ。 顔に出さないように。顔に出さないように。 「と、とにかく私は生徒会の集まりがあるから。」 そう言って立ち上がると、そそくさとその場を立ち去ったのであった。
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