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「それは面白そうだね、花野が興味持つの分かる。でも、教授の反対も分かるな。このゼミでその分野なら、かなりもったいないからね」
報告した二人は同じ考えだと知った花野は落胆して、迷いが余計に強くなった。
「それでもさ、自分が入りたい会社じゃないと、合わないってなったら、勧めた人を責めそうだよね。
花野はそんなことしないと思うけど、後悔はするんじゃない?自分の希望を通せば良かったってね」
彼女の言葉に、花野の迷いは消えた。
就職という大きな決断を前に、花野も普段とは違ったのだろう。今までの自分を取り戻した彼女は、力強く返した。
「麻里に話して良かった。決めた。やっぱりそこにする。中村事務総合商事に」
花野は立ち上がると、そのまま教授室へと向かった。何ごとにも真正面から向き合うという彼女の性格のとおりに。
そして、教授も彼女の強い意志を目にして、反対を続けられなかったようだ。渋々だったが、花野の選択を黙認した。
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