第四章 心を解(ほど)く贈り物

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 寝室に戻ると、ベッドサイドテーブルの上にある皿に、外したピアスを置くのが習慣になった。  いつの間にか置かれていた。  ピアスを嫌っているのに、花野のために皿を用意する。義隆が花野へ譲歩(じょうほ)しているのが分かった。  「花野……愛してる」  ベッドに入って半分眠ったような義隆から、愛情を伝える言葉が出た。寝言ではないようで、彼女の身体を軽く愛撫している。  「ありがとう」  彼の言葉に対して嬉しい気持ちはあるが、今は(こた)えることができない。  まだ、花野から完全に警戒心は消えていない。  愛の言葉が返ってこないので、彼女の気持ちが揺れていると分かったようで、愛撫をやめて強く抱き締めてきた。  「もう、絶対裏切らないから」  誓うような言葉にも花野は頷けない。  彼は、裏切った後も花野を平然と抱いた。どれだけの衝撃だったか……  (ゆる)す気持ちはあっても、相手を信じるのがまだ怖かった。
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