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その会社を含めて、エントリーシートを送った全社から内定が出た。外資系も一社押さえているので、その中から決めないとならない。
教授は、元々の本命企業を勧めてきた。
女性の海外赴任を認める総合商社。世界中で取引をしている国内屈指の規模の会社だ。
でも、花野は迷った。
世界中を回り、大きな取引交渉をする現場に自分も参加する。そんな夢を抱いた。なのに、考えもしなかった会社から内定をもらったことで、彼女に迷いが出ていた。
「教授、私、この会社に行こうと思ってるんです」
彼女が、ゼミの担当教授に自分の気持ちを明かしたのは、最後の会社から内定が出て半月後だった。
両親は、花野の選択に反対しなかった。
それで、娘が海外赴任をすることに決して賛成していなかったのが分かった。でも、二人はいつも花野の選択に任せるという態度でもあったので、ありがたいと感じている。
花野は、自分で決めて行動する子供だった。
給付型の奨学金も自分で見つけて手続きをした。両親の負担を減らすための行動で、余計に二人は、花野の自主性を尊重してくれた。
複数社から内定をもらっているので、入社する会社以外には内定辞退を連絡しないとならない。かなり悩んだが、花野は、あの男性が勤める会社に入ろうと決めた。
でも、聞いた教授は即座に反対した。
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