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「なぁ、紬?明日ってさ……」
これを着けて、爆睡なんてことはありえない。
俺は確信を持って彼女の素肌にくちづける。
華奢な肩に、鎖骨に、綺麗な薔薇の花々に飾られた柔らかな胸のふくらみに。
そして、何よりも愛しい唇に。
「んー、お休み。恭一もでしょ?」
思った通りだ。
彼女はバレたか、という表情のあとに普段よりも甘く、誘うような声で擦り寄ってきた。
「うん、俺も休みだよ」
「だから私、今夜はコレにしたの。恭一、好きかなぁと思って」
瞼の重そうな眼を見つめ続けていると、彼女は照れくさそうに笑い出した。
すっかり見透かされて、俺も笑う。
「じゃあ確信犯なんだ?コレは」
彼女に跨り、両手をぎゅっと繋ぐ。
恥ずかしげに顔を反らそうとするけれど、そうはさせない。
その表情も込みで、俺は彼女を愛しているし欲情もしてるんだから。
「やっと時間が合ったんだもん。せっかくの夜を楽しまなきゃ損、でしょ?」
普段は大人な彼女が、ほんのわずか垣間見せた寂しさと、不甲斐ない俺へ、惜しみなく注いでくれる愛情。
俺は君に、ちゃんと愛情を返せているかな?
おどけて胸元を強調してくる彼女を、笑って見つめ返す。
俺は、そうだね。と呟いて強く抱きよせた。
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