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昼近く、ベッドから転げ落ちた衝撃で目が覚めた。
脱ぐものが何もなくなった暑がりな彼女は、抱きついて眠っていた俺を払いのけたに違いない。
これも、蒸し暑い日限定の恒例行事みたいなもの。
「痛って!」
「恭一、うるっさい……」
小さく聞こえてきた、お決まりの声。
だから俺は、こう返す。
「いやいやいや、紬のせいだから!」
俺はベッドに再び入り、彼女をめいっぱい抱きしめた。
「暑いよ、恭一」
「知ってる、俺も暑い」
そう言いながらも、俺らが離れることはない。
もぞもぞしながら、けたけたと笑う紬。
何だよこの可愛いすぎる生き物は。
絶対、絶対、何度ベッドから突き落とされたって這い上がってやるんだ。
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