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明里は昼間はごく普通の銀行員だ。
新卒で入行して6年目になる。
ひととおりの業務をまわって、今は地区の母店の窓口を担当している。
「高梨さん、お願いします」
出納係から再勘を経て戻ってきた現金と通帳を受けとるために振り向き、ついあくびが出そうになって涙目になる。
「…鼻が赤いですよ」
この春入行した行員の男の子にちらりと横目で見られ、指摘された。
仕事中に、言語道断だ。
新入行員に注意されたことも恥ずかしくて、少し動揺しながら現金を再確認し、お客様をお呼びする。
(普段はこんなことないのに…昨日、やっぱり夜更かししすぎたかな)
お客様に笑顔で対応したあと、気合いを入れ直すために深呼吸をして、次の業務に取り掛かった。
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