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はじめは冬に、小さなガーネットストーンを取り寄せた。
綺麗なティアドロップ型にカットされたカラーストーン。情熱的で離れ難い。
胸にガーネット色の小さな炎が灯った気がした。
次にアメジスト。
薄く、丸いカット。儚いようでその綺麗な紫は、明里のもの寂しい春に希望を与えた。
初夏にはロッククリスタルとターコイズを。
どこかチープで懐かしい透明感と、目の覚めるような鮮やかなスカイブルー。
窓辺に飾ったミニヒマワリの周りに、たくさん並べては写真を撮った。
石たちとの出会いから見てきている淳也からは、怖いくらいにのめりこんでるね、と苦笑された覚えがある。
たしかにそれまでこれといって趣味もなく、貯まり続けていた貯蓄額がぴたりととまって、かわりにたくさんの石たちや、その子たちを飾ったり保管したりするケースや雑貨が、明里の狭い1DKに、ところ狭しと並べられた。
場所がなくて出しっぱなしには出来ず、仕舞われていく子たちを見るのは忍びなかったが、新しい子たちには出逢いたい。
その頃には明里は、馴染みの小売店が仕入れる際に、声をかけてもらうまでになっていた。
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