出会い

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気がつくとステンドグラスの光が差し込んできた。 ここはどこだ? 俺は確か、空腹で倒れてガキに助けられたような…。 「目が覚めた?…そんなに驚かないで。私は貴方に何もしないわよ。亅 傍らに座っていた髪の長いガキが声をかけてきた。女のガキで、目は真紅。金髪で、白い肌に、シャツワンピースを着ている。年は13ぐらいか…? 何もしないだと?嘘付け。俺を殺すか、拷問でもするんじゃないか? …そう思ったが、目の前のガキの目を見てこいつはそんなアホなことしないやつだとわかった。 「そーかよ。テメーは誰だ。なぜ俺を助けた?助ける義理なんざねえはずだろ。亅 ガキはすぐにこう答えた。 「ガキって呼ばないで。名無しの殺人鬼さん。私にはレーネという名前があるの。レーネって呼んでよ。…殺人鬼と話すのは初めてね。あなた、名前がないのよね?私がつけてあげるわ。」 おいまて、話がこじれてんぞ。とりまレーネと名乗る少女に俺をどうする気かと聞いてみた。すると… 「どうって…どうもしないわ。私は貴方と仲良くなりたい。だからあなたを連れて帰って一緒にいたい。感覚的にそう思ったのよ。それだけ。」 こいつ、いかれてんのか…?俺のことを知れば気味悪がる癖に。後ろ手にナイフを構える。 「…お前、俺のことを名無しの殺人鬼と知ってるなら俺が不老不死なことも何百人も殺してることも、俺がいかれていることまでわかるだろ。怖くねーのか?亅 レーネは腕を組んで考えたあと、こういった。 「そうね…。怖くはないわ。私は人を殺したことがあるのよ。そして罰を受けた。貴方と同じよ。愛してくれないから、奴隷商人のもとから逃げて父親を殺した。この腕の印を頼りにね。亅 そう言ってシャツをめくり、腕を見せた。レーアズ・ブラッド…? 「私の名前。略してレーネよ。ブラッドといえばホワイト王国の王家。私は王家から売られたと聞いてたから父親に復讐しようと思ったの。殺したわ。けど私は一人ぼっちだった。傷の舐め合いをしたいんじゃない。あなたと仲良くしたいだけよ。私も、。」 「仲良く、だあ?ふざけんな。俺が人を殺して食うって知らねぇのか?」 「知ってるわよ。けど、別にいいもの。私は余生を少しでも誰かと過ごせたら、ね。それに、ここなら神官たちに見つからないわ。教会に面白半分で近づくような奴らじゃないもの。あなたもここにいるメリットはあるわ。」 ガキはつま先をわざと伸ばして、ダンスのステップを踏むように歩く。 クソガキのくせに余生だなんだとのたまってやがる。 「近くに森があるから木の実なんかでお腹は膨れるし、そう遠くないところに街もある。そしてここは陽の光は入るけど地下教会よ。身を隠して暮らすならいいこと尽くしよ。」 俺は死ねないからどっちにしろ食に興味は無い。俺のために生きるって決めた。 自由に。 だから俺はこいつを気にせず自由に生きる。 「ふーん、おもしれぇ。いいだろう、取引成立だ。つまんなくなったら殺すからな」 「ええ、構わないわ。殺せないけど、お好きになさって。私も好きにするから。私、好きな人が出来たの初めてだもの。」 そう言ってガキは笑った。 こうして俺はレーネと暮らすことになってしまった。
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