第3章 拳銃男と生還者

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「しゃがんで!」 彼女はワンタッチで傘を開く。 開いた傘から衝撃波が生まれ、拳銃男が吹き飛ぶ。 「ふざけやがって。調教してやる」 態勢を整えて、拳銃を発砲してくる。 これビニール傘?透明なんだけど。 僕は傘の内側でしゃがんだまま、硬直していた。 銃口から硝煙が上がり、弾丸が傘に吸い込まれる。 何も起こらない、当たった衝撃さえない。 慌てて男は撃ち続ける。 「バカはそっち。選ぶなら弾数が多いサブマシンガンとかでしょ? しかも、リボルバーって回転式拳銃だから。頭痛が痛い的な感じね?」 カチッ、カチッ。弾切れだ。 「アイのターンよ」 彼女は濡れた傘の雨滴を弾く様に、ランナーを使って中棒を上下にスライドする。 傘に吸い込まれたはずの弾丸が、反射するように戻っていく。 「命まではとらないわ。ドローンで見てるんでしょ?」 彼女の声で召喚されたように、MOJマークを付けたドローンが現れた。 倒れた拳銃男に向かい、応急処置を施すかと想いきや、発砲し止めを刺すドローン。 「君は一体、何者?」 「アイはこのイベントの経験者……いえ、生還者なの」 9d6d2749-a8ee-4b80-878c-9af20222ef58
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