第1章 謎のアンケート

4/4
71人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
言ってる意味が分からない。 人と被らない、斬新な回答を求めてるのだろうか? たかがバイトに? それとも、心理テストで『バイトテロ』しそうな奴を選別する為? 僕は斜め前に座っている女の子をチラ見した。 実は会場に着いてから、気になって仕方がない。 ドストライクなのだ。 天気予報では晴れなのに、傘を持参してるけど。 彼女と同じ回答だったら、同じセクションになるってことだよな? 僕は何とか、彼女の回答をカンニングしたかった。 可愛らしく、両手で指折り数えながら首を(かし)げている。 でも、なかなか7文字には辿り着かないようだ。 端末への入力はタイピングではなく、指かタッチペンだ。 ラッキーなことに、7文字目だけが埋まっているのが見えた。 傘 え?傘?無人島に? でも、これは被らないぞ! 問題は残り6文字。 「締切2分前です」 無事に送れた者。 エラーで慌てて再考する者。 傘というラストワンは分かるが、他が分からない僕。 未だに指折りする彼女。 相談できないのが痛い。 「あ!」 閃いたらしい。分かりやすい子だ。 これ以上ない位、斜め前のスマホ画面を注視する僕。 読めた! そして書いて送ったんだ、彼女と同じ回答を。 『超絶ハイテク傘』 送信!……って何だそりゃ? 「はい、ここまで。皆様、お疲れさまでした。 ルーム【5-B】はあと10分で完全退館ですので、速やかにお帰りください」 43d5d7b6-d1b4-42ac-9845-71c34af8589b
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!