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umbrella desire
昔から他人と深く関わる事が苦手だった。
……いや、正確に言うと他人の所有物に触れる事が怖かった。
僕には奇妙な能力がある。
それは、他人の物に触れるとその人の過去の体験や思い出、気持ちを映像として見る事が出来るというものだ。
しかし、生まれてこの方、この能力があって得をした事など…一度もない。
そもそも、何が楽しくて他人の過去や気持ちを覗こうなど思うものか。…知ったところで、いい事など無いのだから。
---あれは、小学2年生の頃。まだ自分の能力には気付いていない時だった。…と言うか、それまで自分の能力が普通だと思っていたのだろう。
当時、今より何倍も社交的だった僕は、仲良くしていた友達がいた。その友達は、明るく笑顔を振りまいているような子だった。
ある日の帰り際、友達がプリントを配っていたため、ランドセルを届けようと思ってそれを持った瞬間…僕の目の前にはその友達と親の映像が浮かび、父親に殴られている友達が其処には居た。無力感に襲われた母親は、自分の息子を助けようともせず、部屋の隅で項垂れていた。
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