umbrella desire

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『イタイ、ツライ、ナンデ…お母さん、タスケテ……。』 お腹を庇うようにして蹲った友達を、尚も蹴り飛ばす父親。 それに伴って、痛みと辛さの感情が高まる友達……。 そんな友達の悲痛な叫びに耐えられなくなった僕は、思わずランドセルを取り落とした。 その瞬間に先程見た映像は消え去り、僕は解放されたと同時に、自分の能力に気付いた。 ランドセルを取り落とした僕を心配してか友達が走り寄って声を掛けてくれたが…僕は何も言えなかった。 『大丈夫?』と言う勇気も無かったし、何より友達が隠している事実を言ったところで、何故知っている?となるだけだ。…この能力は誰にも言わない方が良いと自分で判断したのだ。 ---しかし、自ら目を背けた事を後悔した。 友達は死んだ。 父親の暴力がエスカレートし、結局自分の息子を殺してしまったのだ。 僕があの時、少しでも違う行動を取っていれば…もしかしたら友達は死なずに済んだのでは無いか、そう何度も何度も思った。
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